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2015年10月

2015年10月22日 (木)

第五話/パートナー

こんにちは。
菊千代です。

今日は僕のパートナーを紹介したいと思う。
精霊の星出身の雷羅です。

彼女は精霊の星で生まれ育ち、六年程前に、この世界に迷い込んで来たそうな。
そして、この世界に迷い込んでから、最初に出会った人間が、たまたま僕だったみたいなのです。

僕と彼女はこの家の裏にある、竹林で出会いました。
僕が筍を掘りに行くと竹林の中で彼女が倒れていたのです。

そして僕は彼女を介抱して、行く当てのない彼女と共に、此処での共同生活を始める事になりました。
それに当たり、僕と彼女は正式にパートナーとなったのです。

この世界では何の理由もなしに、誰かと一緒に生活する事は許されていません。
そして僕や彼女のように別の世界から迷い込んで来た方が当面の生活をする施設はあるのです。

かく言う僕も、この世界に来た当初は、その施設で生活をしてもいました。
だから本来はそこへ彼女を連れて行くべきではあったのでしょう。

しかし彼女の美しさに魅了されてしまった僕は、どうしても彼女を手放したくなくなってしまい、偶然を利用して無理矢理、彼女の保護を買って出たのです。

勿論、僕から見て彼女は異星人であるので、パートナーになるとなると不安も少なくはなかったのですが、それを差し引いても尚、彼女に傍に居てもらいたかった。
そして彼女の傍に居たかったのです。

彼女の方も最初は助けてくれた僕の保護を断る事が出来なかっただけ、なのかもしれませんし、不安や戸惑いも大きくはあったでしょう。

それでも、共同生活をしていく中でお互いが少しづつ、信頼を築き、愛を育み、今ではお互いが幸福を感じる事も出来る様になっていると思います。

そして彼女にはこれまでに沢山、助けられてもきました。

最初に助けたのは僕の方なのですが、それ以降は僕の方が彼女に助けられっぱなしと言っても過言ではありません。

と言うのも、彼女は精霊の星出身という事もあり、自分が守護を受けた精霊の力を借りて、魔法を使う事が出来ます。
そして彼女は風の精霊の守護を受けているので、風の魔法の一つであるテレパシーを使って言葉が通じない相手との意思疎通が出来た。

だから様々な世界から様々な存在が迷い込んで来る、この世界で彼女は非常に貴重な存在でもあります。
そして彼女の存在は僕だけでなく、この世界にいる、多くの方々の助けにもなっている。

また以前にこの世界で僕は結構な有名人だと申しましたが、彼女はそれ以上に有名でもあります。

そして彼女がいなければ、僕が有名になる事も出来なかったでしょうし、そうなると、この様に地球の皆さんにこちらの世界の事をお伝えする事も出来なかったのかもしれません。

そう考えると、僕は彼女にいくら感謝をしてもしきれない様に思ったりもするのです。

そして、そんな彼女との出会いに最大級の感謝を。

それでは、今日はこの辺で。

2015年10月14日 (水)

第四話/ざ、らいおん、すりーぷす、とぅないと

こんばんは。
菊千代です。

先程まで降っていた雨もあがり、今は夜空に星も瞬いている。
こちらはまだ雨期の真っ只中ですが、束の間の晴れ間が我々に、この世界の素晴らしさを、より強く示してくれている様に感じたりもします。
こんな夜はライオン達も狩りを辞めて、のんびりと眠っているのかもしれません。

地球では不夜城などと例えられたりする様に、夜であっても昼間と変わらずに過ごす事も出来ますが、こちらでは夜になったら真っ暗です。
勿論、火を焚く事はありますが、そんなに遅くまで起きている事は先ずありません。
基本的に暗くなったら寝て、明るくなったら起きる。

その様なリズムで生活をしているのです。
だから今この時間に、こちらの世界で起きているのは僕だけなのかもしれません。

それは決して大袈裟ではなく、寝付けているかどうかはともかくとして、殆どの人が床にはついているでしょう。
無理に起きていても何もする事はありません。
薪を無駄に消費するだけになってしまうのです。

恐らく地球でも数百年くらい前までは、この様な感じだったのかもしれません。
そう考えると、まるで数百年前の地球にタイムスリップした様に感じたりもします。

こんな事を言うと、こちらの世界の方が地球よりも発展が遅れている様に思われるのかもしれませんが、実際にはそうではありません。

こちらの世界では別次元の世界から人と共に様々な文化や、高度な技術も迷い込んで来るので、地球より技術力という点では遥かに進んでいます。
そうでなければ、次元の違う地球の皆さんに僕の言葉を届ける事は出来ないでしょう。

地球よりも遥かに進んだ技術を持ちながらも、その技術に寄り掛かったりはせずに、自然を大切にして、自然と共に生きる道を選んでいるのです。

僕はこの世界に迷い込んで来て、最初は戸惑いも大きく、地球に帰りたいと思う事も少なくはなかったのですが、高度な技術に依る豊かな生活よりも、自然を大切にする事に因って、豊かな世界を保とうとする価値観に大変に感銘を受けて、今では、この世界に迷い込んで来れた事を幸福にすら思える様になりました。

そんな幸福を地球の皆さんに少しでもおすそ分け出来たら、これに勝る幸いはないかと思ったりもする。

それにしても、本当に素敵な星空です。
こちらの人達は星空を愛でるような感覚はありません。
だから今この瞬間、この星空は僕だけのもの。

しかし私にも明日の生活があるので、そろそろ休ませて頂きたいと思います。

お休みなさい。

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